税優遇の内容

税優遇の内容

個人投資家は投資時点、株式売却時点のそれぞれの時点において、税制上の優遇措置を受けることができます。

(1)投資した年に受けられる所得税の優遇措置

AとBのいずれかを選択可能

優遇措置A

設立3年未満の企業への投資が対象
[対象企業への投資額‐2000円]をその年の総所得金額から控除
※控除対象となる投資額の上限は、総所得金額×40%と1000万円のいずれか低い方

優遇措置B

設立10年未満の企業への投資が対象
対象企業への投資額全額をその年の他の株式譲渡益から控除
※控除対象となる投資額の上限なし

※優遇措置Aの要件をみたす場合、確定申告の際に個人投資家が優遇措置AとBのどちらを利用するかを選ぶことができます。

(2)株式を売却し損失が発生した場合、受けられる所得税および住民税の優遇措置

対象企業の株式売却により生じた損失を、その年の他の株式譲渡益と通算(相殺)できます。その年に相殺しきれなかった損失は、翌年以降3年にわたって順次株式譲渡益と通算(相殺)できます。

※対象企業が上場しないまま、破産、解散等をして株式の価値がなくなった場合にも、同様に翌年以降3年にわたって損失の繰り越しができます。
※対象企業へ投資した年に上記(1)の所得税の優遇措置を受けた場合には、その控除対象金額を取得価格から差し引いて売却損失を計算します。
※平成12年4月1日から平成20年4月30日までに取得した株式に限り、投資した日の翌日から3年を超えて当該株式を保有した後に、その株式を売却したとき(対象企業の株式を上場後に売却した場合は上場の日から3年以内)は、譲渡益を1/2に圧縮して課税します。

税優遇の具体例

(1)投資した年に受けられる所得税の優遇措置の具体例

優遇措置A
設立3年未満の企業への投資が対象

[対象企業への投資額‐2000円]をその年の総所得金額から控除
※控除対象となる投資額の上限は、①総所得金額×40%と②1000万円のいずれか低い方

具体例① 投資家Nさんの場合

総所得額:800万円
企業への投資額:500万円
        ↓
総所得金額から控除できる金額:319.8万円
※320万円‐2000円=319.8万円
× 投資額500万円
○ 限度額①800万円×40%=320万円
× 限度額②1000万円

具体例② 投資家Kさんの場合

総所得額:1200万円
企業への投資額:300万円

総所得金額から控除できる金額:299.8万円
※300万円‐2000円=299.8万円
○ 投資額300万円
× 限度額①1200万円×40%=480万円
× 限度額②1000万円

優遇措置B
設立10年未満の企業への投資が対象

対象企業への投資額全額をその年の他の株式譲渡益から控除
※控除対象となる投資額の上限なし

具体例③ 投資家Tさんの場合

総所得額:800万円
企業への投資額:500万円
他の株式譲渡益:200万

株式譲渡益から控除できる金額:200万円

具体例④ 投資家Kさんの場合

総所得額:1200万円
企業への投資額:300万円
他の株式譲渡益:350万円

株式譲渡益から控除できる金額:300万円

コラム:優遇措置Aと優遇措置Bはどちらが有利か

 優遇措置Aと優遇措置Bのどちらがお得になるかは、個人投資家の所得額や投資額によって異なりますので、いくつか例を挙げて比較してみます。

 

投資家Xさんの場合

投資家Yさんの場合

総所得金額

12,000,000

8,000,000

企業への投資額

3,000,000

7,000,000

他の株式譲渡益

3,000,000

6,000,000

 

優遇措置A

優遇措置B

優遇措置A

優遇措置B

総所得金額等から控除できる金額

2,998,000

-

3,198,000

-

株式譲渡益から控除できる金額

-

3,000,000

-

6,000,000

エンジェル税制を利用した場合の支払税額(a)

1,884,660

2,424,000

1,432,900

1,204,000

エンジェル税制を利用しない場合の支払税額(b)

2,874,000

2,874,000

2,104,000

2,104,000

(b)-(a)

989,340

450,000

671,100

900,000

判定

優遇措置Aが有利

優遇措置Bが有利

 

投資家Zさんの場合

投資家Wさんの場合

総所得金額

5,000,000

3,000,000

企業への投資額

3,000,000

1,000,000

他の株式譲渡益

2,000,000

1,000,000

 

優遇措置A

優遇措置B

優遇措置A

優遇措置B

総所得金額等から控除できる金額

1,998,000

-

998,000

-

株式譲渡益から控除できる金額

-

2,000,000

-

1,000,000

エンジェル税制を利用した場合の支払税額(a)

502,700

572,500

252,700

202,500

エンジェル税制を利用しない場合の支払税額(b)

872,500

872,500

352,500

352,500

(b)-(a)

369,800

300,000

99,800

150,000

判定

優遇措置Aが有利

優遇措置Bが有利

【算定根拠】

所得税の計算は、平成28年4月1日現在の「所得税の速算表」によります。
株式譲渡の場合の税額は、所得税(15%)で計算しています。

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